こんにちは。
銀行から担保設定の依頼を受け、
登記の委任状や抵当権(根抵当権)の設定契約書を預かりに行くと、
ときどき【銀行代表者から支店長への包括委任状】と【支店長からの司法書士への登記委任状】
をもらい受ける場面があります。
包括委任状の内容はおおまかに、
「銀行代表者から支店長へ、登記手続き等の権限を委任します」といったものです。
登記の委任は、法人であれば原則法人代表者からいただくことになります。
金融機関も例外ではありません。
結論から言いますと、
支店長名義の委任状1枚をもって登記申請することはできません。
この場合、法人代表者→支店長への、登記の権限を委任した委任状も合わせて必要です。
つまり、
代表取締役→支店長(登記権限の包括委任状) 1枚
支店長→司法書士(登記手続代理の委任状) 1枚
の計2種の委任状があってはじめて、私共は登記申請を行えるのです。
また、この登記権限の包括委任状と併せて、金融機関は印鑑証明書も一緒に預けてくれる
ケースもありますが、金融機関が登記権利者として申請するのであれば、印鑑証明書は
法務局へ添付せずとも、登記申請は完了します。
登記権限の包括委任状は、原本還付は必ずしましょう。法務局に納めてしまったら、
多分、金融機関から叱られます。
登記権利者であっても、念のため印鑑証明書を添付するといった場合は、
こちらも原本還付可ですので、忘れずに返してもらいましょう。
1つ確認しておかなければならないのは、
依頼を受けている登記が、間違いなく包括委任状の範囲のものであるかという点。
つまり、依頼は抵当権変更なのに、
抵当権の設定、抹消は委任内容になっているが、抵当権の変更が委任内容になっておらず、
射程外でした、ということになれば大変です。
包括委任状もらったからOKという判断は非常に危険です。
私は、委任内容の把握は必ず預かりの際にするようにしています。
ちなみに、
登記の申請書や、登記原因証明情報(抵当権設定契約書)は通常通り
代表取締役のお名前で申請します。
よって、支店長のお名前は、登記手続代理の委任状にのみあらわれます。
お役に立てれば幸いです。
似たお話で、下記も参考に見てみてください。
銀行から預かった登記原因証明情報(解除証書)が支店長名義の場合の注意点