相続での、限定承認についてのお話の続きです。
前回の記事で、相続にあたりごく僅かな人については、
限定承認をすべきというお話をしました。
どのような人がごく僅かな人に該当するのか書いていきます。
大きく3つのケースに分類されます。
まず大前提として、
「相続財産に比して借金が膨大」という事実を踏まえた上で、
① 借金を負ってでも、亡くなった方の会社を引き継ぐ必要がある場合や
どうしても相続したい財産(不動産、家宝)がある場合
② 相続放棄をして、他の親族に迷惑をかけたくない場合
③ ある事情により、当分相続財産について調査ができない場合
まず、①については、
結論、
「相続財産に比して借金が膨大」であり、
かつ
守るべき財産がある
かつ
手持ち資金を用意できる
という人が、限定承認をするごく僅かの人といえます。
順を追うと、
限定承認は、負債が実際にどのくらいあって、
限定承認か、単純承認か、どちらがいいのか、コスト面を考えた上で
判断すべきです。限定承認には、余分な費用や時間がかかります。
「相続財産に比して借金が膨大」な場合は、限定承認のほうがいいのは明らかです。
また、動産や家業を引き継ぐ場合には、注意点があります。
それは借金や負債部分の金額について、
一括での金銭の支払いをする必要があるということ。
具体的な限定承認流れとして、
「1000万の土地があるが、5000万の借金がある」という状況の場合
A 土地が1000万円で競売にかけられる
↓
B 相続人が先買権(※優先的に買う権利)を行使し、1000万円で土地を買い取る
↓
C 買取のために支払った1000万が債権者の借金に充てられる
↓
D 手続き完了
と処理していきます。
この場合に、手持ち資金が用意できない場合はBが達成できず
結局、不動産や、家業の会社を買い取れず競売に出されてしまうことになります。
資金繰りについて計画を練っておかないと本末転倒となるということです。
単純承認であれば、上記のケースにおいて、債権者とは、
「今までどおり分割払いで!」という打ち合わせができる余地はありますが、
限定承認ではそうはいきません。
なので、「相続財産に比して借金が膨大」ではないのに、
安易に限定承認を選択してしまうと、
「一括で支払うのは無理!」という話になりかねません。
以上のことから、
まずは、
「相続財産に比して、借金が膨大」であり、
かつ
守るべき財産があるか
かつ
手持ち資金を用意できるか
の確認をする必要があります。
この全ての要件を満たす場合、「ごく僅かな限定承認をすべき人」に該当している
といえるでしょう。