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【ケース2】離婚に伴う家の名義変更の方法(旦那名義に妻が住む)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

離婚の際に、不動産(たとえばマイホーム)がある場合、

今後「誰が住むのか」「名義はどうするか」「ローンはどうするか」

という問題は必ず発生します。

この問題を解決するには、

当事者双方の合意+実現するための要件のクリア

が必ず必要です。

 

当事者双方の合意があっても、

実現するための要件が整わなければ話は振り出し戻ります。

 

こちらのブログでは、

ケースごとの実現するための要件について考えていこうと思います。

 

ケース1(夫名義に夫が住む)はこちら

 

 

ケース2

   

今【名義は 夫👨、債務者(ローン払う人)は 夫👨】

 

将来【名義は 妻👩‍🦰、住むのは 妻👩‍🦰 】

 

 

率直な感想を言うと、

これを実現するのはかなり難易度が高く、頭を悩ませるケース

かと思います。

 

まず前提として、住宅ローンがついたまま家の名義を勝手に変えるのは、

銀行に対して規約違反になります。

 

よって方法としては

 

【1.銀行の了解を得て名義を変える(多分無理)】

 

【2.夫名義のままの家に住み続ける】

 

【3.ローンの残額を返済して家の名義を妻にする】 

 

のいずれかです。

 

まず、

 

【1.銀行の了解を得る(多分無理)】

ですが、結論、銀行の了解を得るのは現実的に難しいです。

 

妻に余りある返済能力と収入があれば可能かもしれませんが。

そのような場合は上の3.で解決できてしまうと思います。

 

 

次の方法として、

【2.夫名義のままの家に住み続ける】

 

結論として、これの要件は、

『夫が債務者として残るリスクの了承が必要』

   かつ

 『妻は不安定な立場となるため法的な対策が不可欠』

です。

 

2.については、まず夫の了解なくしては進みません。

住宅ローンが夫名義で残っていると、

夫は、完済するまで、他で住宅ローン等が組めなくなるからです。

また、毎月しっかり妻が夫に代わり住宅ローンの返済をしていればよいですが、

返済が滞れば、夫の信用情報にキズが付くということが考えられます。

これらを夫が理解して、リスクを了承してもらわなければなりません。

 

一方で、妻は完済に至るまでの間、夫の口座に

毎月の住宅ローン分のお金を入金(又は振込)をしなくてはなりません。

また、住宅ローンが完済となっても、

自動的に名義が妻へ変わるわけではありません。

したがって、

「財産分与として、妻へ不動産の名義を移転する」旨の

離婚協議書または離婚公正証書の作成は必須です。

 

ただし、可能性は低いと思いますが、

夫が勝手に家を売りに出した場合、

妻は、権限のない建物占有者となってしまいます。

追い出されても文句が言えません。

 

また、夫が将来借金を抱えてしまい、

家に担保が設定されたり、差押えを受けたり、

はたまた破産した場合は、

たとえ離婚協議書に「不動産は妻の名義」と記してあったとしても

差押えをした人達には主張できません。

 

あらかじめ、「所有権移転仮登記」を登記簿に入れておく

という対策が考えられますが、これも金融機関に対して規約違反となるでしょう。

よってこのリスクに対して、

ノーガードで行くのか、もしくは何らかの策を講じる必要があるでしょう。

手段がないわけではないですが、

かなりパワープレーになってしまうことは避けられません。

 

 

まとめると、妻は他人名義の建物に住む以上、

自分の立場を保護できる対策、将来必ず自分の名義にする対策

を講じておかなければならない、ということになります。

 

 

最後の方法として、

【3.住宅ローンの残額を返済して家の名義を妻にする】

 

です。

 

結論として、これの要件は、

『妻に住宅ローンを返すだけのお金が手元にある』

 又は

『妻に十分な収入があり、融資をしてくれる銀行がある』 

 

です。

 すでに、妻の手元に住宅ローンの返済に足るお金があれば、

返済して、住宅ローンの担保を消す。

そのあと、財産分与として、家の名義を変える。

これで終わります。

しかし、手元にお金がない場合はどうするか。

この場合は、銀行から妻が新しい住宅ローンを組む方法を

取ることになります。

 

流れとしては、

① 妻が銀行でお金を借りる

 ↓

② 夫名義の住宅ローンの返済に充てる

 ↓

③ 住宅ローンの担保が消える

 ↓

④ 家の名義を妻に変える

 ↓

⑤ 妻名義の家に①で借りたお金分の

  担保を設定する。

といった流れです。

 

ただし、この流れで手続きをする場合、

妻が家の名義を取得する名目は

『財産分与』ではなく『売買』の形にすることが多いです。

『財産分与』という名目では、新しく融資をする銀行が

融資をしてくれないケースがあります。

融資をしてくれる銀行がないわけではないですが、

金利が高かったり、名義を移転する登録免許税が高額になったりと

いったデメリットがあります。

 

売買の場合は、金利や免許税は下がることが多い一方で、

不動産取得税や、譲渡所得税を考える必要があります。

また、借入先によっては、

不動産売買の仲介業者をつけてほしいといった要望や、

重要事項説明書を作成してほしいといった要望に応える必要があります。

トータルでどの方法が一番安いかは、借入先の条件や、不動産の状況によって

変わるので、しっかり検討すべきでしょう。

 

 

 まとめると、

 

今【名義は 夫、債務者(ローン払う人)は 夫】

 

将来【名義は 妻、住むのは 妻】

 

にしたい場合は、

 

【1.銀行の了解を得て名義を変える(多分無理)】

  → 実現可能性が低い

 

【2.夫名義のままの家に住み続ける】

  『夫が債務者として残るリスクの了承が必要』

     かつ

     『妻は不安定な立場となるため法的な対策が不可欠』

 

【3.ローンの残額を返済して家の名義を妻にする】 

      『妻に住宅ローンを返すだけのお金が手元にある』

       又は

   『妻に十分な収入があり、融資をしてくれる銀行がある』 

 

といえると考えます。

 

私見としては双方の今後のリスクを考えると、

【3.ローンの残額を返済して家の名義を妻にする】 

が理想なのかなと思います。

ただ、融資が組めない場合は、

【2.夫名義のままの家に住み続ける】

 にするか、あきらめて家を手放すかのいずれかを検討する必要があるでしょう。