父が亡くなり、相続人は依頼者と依頼者の兄。父の不動産は兄が単独で取得する旨の遺産分割協議書が完成していたが、数年後名義を変更する前に兄も亡くなった。
依頼者のAさんは、父親が亡くなり、Aさんと、Aさんの兄(以降Bさん)の計2名で父親の不動産を相続した。
AさんとBさんは、「Bさんが父親の不動産を取得する」旨の遺産分割協議書を作成した。
数年後、父親名義の不動産の名義を変える前に、Bさんが亡くなってしまった。
Bさんは結婚しておらず、子供もいない。
数年前に作成した遺産分割協議書を持って、Aさんが当事務所へ依頼。
相続による不動産の名義変更を進める。
数年前に作成した遺産分割協議書があったため、父 → Aさん への1件の相続登記のみで完了。
今回の依頼の場合、名義の移り変わりが、
① 父 から 遺産分割協議によりBさん
② Bさん から 相続によりAさん
という順番で所有者が変わっていると見てとれる。
こういった数次相続と呼ばれる形で、中間の相続人が1人(今回のBさん)の場合は、
父 → Aさん へ1つの相続登記で変更することが可能。
父からBさんへ移ったことが分かる遺産分割協議書等が無いと手続きができない。
仮に、遺産分割協議書が無い場合は、父から直接Aさんへ名義を移すことは不動産登記法上できず、
下記のような処理になる。
1件目 :父 → Aさん・Bさん
2件目 :Bさん持分 → Aさん
Aさんからしたら、登記簿を見ても単純に
父 → Aさん へ名義が変わっているので、
なんのことかと思われるかもしれないけれど、簡単そうな相続手続きの中にも、
論点が多く詰まったご依頼だった。
司法書士試験で問われても良いくらいのものかと思う。
そしてAさんが遺産分割協議書を紛失していなかったことが見事なファインプレー。
必要となった手続き内容
不動産の名義変更(父から数次相続を経てAさんへ)、
戸籍等の取得及び上記手続きに附随する書類等作成
手続き費用(報酬)
上記の手続きにかかった司法書士報酬は7万3400円(税込)
別途、登録免許税等その他実費